歩行器の種類と特徴

歩行器には、足にキャスターが付いているものや、左右を交互に動かせるものなど、利用者の身体状況に応じてさまざまなタイプが用意されています。歩行器の種類とそれぞれの特徴をお伝えします。


●固定型歩行器

四脚歩行器の一種で、フレームが固定されているタイプです。歩行器を一歩前のほうへ持ち上げ、体を支えながら前進させます。主に室内での使用に向いており、立ち上がるときの手すりとしても活用できます。前進するには歩行器を持ち上げなければならないため、上半身の筋力がある程度ある人でなければ使用できません。下肢に筋力低下や痛みがあり、杖では歩行が不安定な人に適しています。


●四脚歩行器

歩行器を持ち上げて前に出しながら進むウォーカータイプの歩行器です。スチールやアルミでできた四脚のフレームで体を支える仕組みで、安定性が高く、下肢への負担を大きく軽減させることができます。歩行器自体を持ち上げる必要があるため、上半身に痛みがある人は使用できません。下肢の筋力低下によりバランスを崩しやすい高齢者におすすめです。


●キャスター付き歩行器(歩行車)

足に車輪が付き、スムーズに移動しやすい歩行器です。前輪タイプは、後ろのフレームを持ち上げて前のキャスターを転がして前進します。腕力の弱い高齢者でも使いやすいのがメリットですが、コントロールが難しいのがデメリットです。前足にキャスターが付いているものと四脚すべてにキャスターが付いているものがあります。


一方、四輪タイプは、歩行器を持ち上げる必要がなく、カートを押すような感覚で利用者の歩行を補助します。四脚すべてにキャスターが付いているため、より小さな力で動かすことができますが、前に出しすぎてバランスを崩しやすいというデメリットもあります。


キャスター付き歩行器のなかでも、ハンドルが胸の高さまであるタイプは、台に肘を置いて使用します。手首に痛みがある人や、握力が弱い人向けです。手でグリップを握って使うキャスター付き歩行器に対して、「前腕支持タイプ」と呼ばれることもあります。


歩行能力が比較的高い人が使うシルバーカーは、キャスター付き歩行器の一種です。下半身の筋力が低下している人やリハビリ初期の人に適しています。ただし、シルバーカーは歩行補助用具で、体重をかける作りにはなっていないため、歩行を安定させたい人には不向きといえるでしょう。主に、重たい荷物の持ち歩きや、疲れたときの休憩などに使用されます。


●交互型歩行器

四脚歩行器の一種で、左右のフレームを交互に動かせるタイプです。通常の歩行時のように、左足を出すときに右のフレームを、右足を出すときに左のフレームを前に動かしながら前進します。左右どちらかの足が常に地面に接しているため安定性が高く、体をしっかりと支えてくれます。体を左右交互に動かす必要があるので、バランス感覚が低い人や体の動きがスムーズでない人にはあまり向いていません。片足に痛みがある人や、姿勢バランスが取りにくく歩行が困難な人におすすめです。


●モーター付き歩行器

傾斜センサーとモーターが搭載されている歩行器です。ハンドルの手動ブレーキに加えて、自動ブレーキが搭載されており、平地や坂道などの路面状況を検知して作動します。高齢者の移動を安全にアシストするため、下り坂で歩行器の速度が上がり転倒することがありません。長時間の歩行が困難な人におすすめです。使用するには、機器の説明を受け、操作方法を理解する必要があります。